『プラハの春』を読む

2006-06-21(Wed)

プラハの春〈上〉 プラハの春〈上〉
春江 一也 (2000/03)
集英社

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遅ればせながら読み終えた。
出だしを読んで、その後読まずに積ん読にしておいたのだが。。。とあることをきっかけに読書再開の運びとなった。

以前ヨーロッパに仕事で行った折り、国境を越えようとする難民を、経済が破綻するなどの理由から西側の軍隊が射殺する、というニュースを目の当たりにして衝撃を受けた。日本などでは報道されない現実であり、日常的なことだと在住の知人らが語ってくれた。帰国してその話しをしても誰にも信じてはもらえず、夢でも見ていたのかと思うことさえある。

ふたたび読み始めると、冒頭まもなくそのことに触れている。やはり夢ではなかったのかと、この一段に出くわしてからは感情移入ができたのか、もとよりよくできた小説、途中濃厚なラブストーリーに身の置き所もないことがしばしばあったが、一気呵成に読み終えた。

「ファシズムと共産主義は呪われた双子の兄弟」 途中の社会論の単純さには閉口しつつもこの一句は前後のコンテクストとあいまって読者へのライトモチーフとして印象に残る。

ラスト、ヒロインのカテリーナ・グレーベが主人公・堀江亮介の腕に崩れて絶命する。これが具体的な顔を持たない冒頭の回想とピッタリ重なる。なるほど。。。

著者は現役の外交官。跋には「事実を素材にしたフィクションである」と断っている。ネット上の書評と同じ感想を抱く、どこまでが現実にあった話しでどこからがフィクションなのか、、、つい著者の心痛を思ってしまう。

当時近隣諸国に滞在し、東側との緊張を体験した知人らは、まさにあの小説のような世界だった、読んでいないのなら読みたまえ、と申し合わせたようにいうのが始まりだった。ヨーロッパに興味のある人は、参考書として一読することをお薦めする。

今は著者の術中に嵌り『ベルリンの秋』を読み始めたところだ。

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