チェスキークルムロフ その1 Český Krumlov
2006-11-16(Thu)

Sony DSC-R1 1/320 F11 Av 14mm ISO160 WB:太陽光
チェスキークルムロフ Český Krumlov は南ボヘミアに位置し、ほどなくオーストリアやドイツ国境という場所にある小さな街である。
南ボヘミアの森に端を発する、まだ若き小川の姿のヴルタヴァ川が、ヴィッシー・ブロット湖あたりで急に向きを変えこの辺りでS字を描く、天然の要害であった。
ヴィートコフ家のヴィーテックがこの土地を開墾し、1250年、高台に分家のクルムロフが最初のゴシック様式の城を建設し領主となった。クルムロフはドイツ語で「曲がった」ほどの意味で、この土地の形容である。

DSC-R1 1/500 F8 Av 19mm ISO160 WB:太陽光
ヴルタヴァ川が旋回するところに街がある様子が分かる
10年前ほどのガイドブックにはほとんど触れられていないが、ここ数年は定番のコースになっている。
見所はヴルタヴァ川の初々しい姿もさることながら、後でも触れるように中世の街の様子が保存されている、という点である。街が世界遺産に指定されている。ウィーン生まれの画家エゴン・シーレは母親がここの出身ということから、この街の風景画「死の街」という一連の作品を描いている。
ザルツブルクから山を登ってドイツ国境側に訪問先がある私たちには、プラハから行くと丁度いい地点にある。そんなこともあって、お仲間を案内するには丁度いいかなと思ってコースにした。

DSC-R1 1/200 F8 Av 48mm ISO160 WB:太陽光
切り通しの崖の間に、城と城を繋ぐこの回廊が渡されている。ここをくぐって街に入った。
街の歴史
街の歴史と性格は結構複雑だ。
1302年、最初の城を建てた領主が死去すると、ロジェンベルク家が領主となる。以後17世紀初頭まで支配が続き、その間街は手工業で大いに繁栄し、ルネッサンス都市としてほぼ現在の姿になった。15世紀には”チェコの”という意味のチェスキーを冠して呼ばれるようになる。このロジェンベルク家は時にはボヘミア王に反旗を翻したり、フス戦争ではジクムントと対決して大貴族の代表となり、ボヘミア王も怖れる存在であったという。

DSC-R1 1/160 F10 Av 23mm ISO160 WB:太陽光
街のいたる所にロジェンベルク家を表す五弁の薔薇の紋章が刻まれている。
ツアー参加の奥様方が仰るには、形からしてハマナスでしょう、ということだった。
ロジェンが「薔薇の……」の意味だと思う
やがてロジェンベルク家に後継者がなく途絶えると、街はハプスブルク家に売り渡された。1606年のことである。以後、恩賞の土地として領主がめまぐるしく変わることになる。
1719年にウィーンを本拠地にするシュヴァルツェンベルク家に与えられた。
(もともとドイツ出身の名門貴族で、ウィーンにはシュヴァルツェンベルク宮が現存し、ホテルとして機能している。元は騎士であったがフス戦争時にジクムント側にたち、ジクムントがボヘミア王になると恩典として多くの所領を与えられ、1599年に伯爵の地位を与えられる。17世紀後半にボヘミア領を得て侯爵になり、1813年には対ナポレオン戦争でオーストリアを護ったことでヨーロッパに一躍名を馳せた。近年ではチェコ大統領の相談役も務めたという。フルボカー城も同侯爵の所有であり、またフラッチャニィ広場にも同家の名を冠する宮殿がある。)
ヨーゼフ・アダムは大々的な拡張工事を行い、城を現在見られる姿にした。城に残るロココ様式がそれだそうだ。そして周辺地域に取り残されたこの街を愛し宮廷文化も持ち込んだ。その意味では社交の場として、南ボヘミアに華やかな文化の花を咲かせていた。

DSC-R1 1/500 F8 Av +0.3Ev 30mm ISO160 WB:太陽光
街の中心スヴォルノステ広場には、おなじみヨーロッパ名物のペスト塔

DSC-R1 1/250 F5.6 P-AE 37mm ISO160 WB:太陽光
しかし時代的のみならず、辺境の山間の街はその後に成長した都市と都市間の主要路からもはずれ、地理的に隔絶され、領主も19世紀末にはほとんどこの地を訪れることはなくなっていたという。おかげで近代化の波も押し寄せず、戦禍にも巻き込まれず、ひっそりと中世の街が保存される結果となった。
特に決定的だったのは、第二次世界大戦の時期ドイツ軍が進駐、ボヘミア人を排斥。やがて大戦終結後に撤退。廃墟の街だけが残っていたそうだ。

DSC-R1 1/1000 F8 P-AE 20mm ISO160 WB:太陽光

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