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ヴラディスラフ・ホールと三十年戦争

ヴラディスラフ・ホール

061216_01.jpg
SONY DSC-R1 1/30 F2.8 Program-AE ISO160



ヴォールト天井が巨大化する教会建築に欠かせないらしいことは、以前に書いた。

これが建築家によって意匠をこらすために欠かせない要素にもなっている。例えばガウディの建築ではこの部分が樹幹状にデザインされて、独特の雰囲気を醸し出すのに成功している。



061216_02.jpg
1/30 F2.8 Program-AE ISO200



ここフラチャニィ城(プラハ城)にはヴラディスラフ・ホールという建物がある。

1487年から1500年にかけて南ドイツ出身のベネディクト・リートのよって作られた後期ゴシック様式のホールである。縦62m、横16m、天井までの高さ13m、完成当初はヨーロッパ最大のものだった。

ここの交差リブヴォールトの天井は花弁形に作られていて美しい。

教会建築のヴォールトが独特の重々しい荘厳さを装うのに対して、同じ技術を利用して部屋全体を軽やかにするのに成功している。このホールは戴冠式などの国家行事のほか、騎士の馬上競技などが行われていた場所であり、部屋の意匠は華やかな宮廷生活に彩りを添えていたであろう。往時を偲ぶことができる。(木製ネダの床で騎馬競技が行われるところがすごい)

基本的に写真撮影禁止だが、いくらかチェコ・コルナを支払うと撮影許可が降りる。カメラをデザインしたシールをくれ、これを見やすいところに貼っておけば撮影 OK なのである。聖ヴィート聖堂も写真撮影可能だったし、こういうおおらかさが好きである。

061216_03.jpg
1/20 F3.5 Program-AE ISO400



壁際はこんな感じ


30年戦争 : 窓外投出事件

さてこのホールにはもう 1 つ見所があり、ヨーロッパ全土を惨禍に巻き込んだ30 年戦争発端の部屋がある。

そこに至るまでの民族的・政治的な諍いの長い積み重ねはある物の、1609年神聖ローマ帝国皇帝でありボヘミア王であるルドルフII世の信教の自由を認める勅書をめぐっての一連の動きが、叛乱の直接の動機となる。

ハプスブルク家(旧教:カトリック)の政策を快く思っていないボヘミア貴族(新教:フス教ウトラキスト派・ボヘミア兄弟団、ルター派)は、抗議集会の最中1618年5月23日、ハプスブルク家側の皇帝代理人たる政務官 ヴィレーム・フルム・スラヴァタ、ヤロスラフ・ボジタ・マルティニツと書記官をこの部屋の窓から投げ落としてしまったのである。この事件を「窓外投出事件」(そうがいとうしゅつじけん:デフェンストラツェ。「窓外放擲」とも)という。「窓外投出」という手法は、ボヘミアでは伝統的な意思表示の手段だそうだ。

この「1618年のボヘミアの叛乱から1648年のヴェストファーレン条約(ウェストファリア条約)締結」に至るまでに行われ、ヨーロッパを巻き込みドイツ国土を疲弊させ荒廃に導いた争いが、30 年戦争と呼ばれる。またこの条約により政教分離・主権国家の概念が初めて提示され、国際法の導出へ、と展開したといわれている※1

061216_04.jpg
1/250 F8 Program-AE ISO160



今はガラス窓が貼られているこの部屋が事件の起きた場所である。往時はボヘミア行政局として使用されていた。

この写真の窓から放り出されたというが、当時は窓がない状態、つまりバルコニー状になっていたらしい。(との説明だったが、大英博物館所蔵の線画には現在のものとよく似た、下側が開く窓が描かれている) なぜか2枠だけ素通しで、手が出せるようになっている。ここから何かをおとさせたいらしい。(-_-;)

061216_05.jpg
1/40 F3.2 Program-AE ISO400



見学コース的にはここから外へ出る。
この部屋はホールの脇間にあたる。
騎士が馬に乗り、馬上で様々な仕度ができるように工夫が凝らされている。

Aug.12.2007 文章を補足




【参考文献】
プラハを歩く プラハを歩く
田中 充子 (2001/11)
岩波書店
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Aug.12.2007 追記

ドイツ三十年戦争ドイツ三十年戦争
(2003/11)
C.ヴェロニカ ウェッジウッド
刀水書房
 ちょっとお高く執筆された年代も古い本だけれども、現在まとまった内容を求めると邦訳ではこれしかないらしい。

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三十年戦史 (第1部) (岩波文庫) 三十年戦史 (第1部) (岩波文庫)
渡辺 格司、シルレル 他 (1943/12)
岩波書店
 プアマンズ三十年戦争資料。
 リクエスト復刊により復刊している最中。文体や訳語が古すぎるのが難点。「匈牙利」はハンガリーなんだろうなぁ。「ルーテル」はルターのこと。


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戦うハプスブルク家―近代の序章としての三十年戦争 (講談社現代新書)戦うハプスブルク家―近代の序章としての三十年戦争 (講談社現代新書)
(1995/12)
菊池 良生
講談社
 概略書として読める。当然のことながら細かな点を考えると、途端に疑問符の山だらけになる。冒頭など中世史的な感性がないものにとっては何の意味があるのやらチンプンカンプンである。お手軽に済ませられる1冊であることには間違いない。
 あとがきに、上記ウェッジウッド女史の『ドイツ三十年戦争』の独版によったことを明らかにしている。


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※1
ウェストファリア条約―その実像と神話ウェストファリア条約―その実像と神話
(2009/06)
明石 欽司

 ウェストファリア神話なるものから話が始まり、先行イメージが一人歩きしていた状況とその批判諸説を前置きし、条約内容の確認してゆきます。
 著者は国際法が専門といい著者のご専門からの視点での論考ですが、著者自身、執筆の「問題意識は単純」というように、国際法の原典といわれた条約の実像を明らかにする過程は、同時に国際法云々ぬきで条約の全体像を描写します。
 この書を読んだ結果、このエントリーで私が書いたような通俗辞書的な説明は訂正されるべきものと分かりましたが、本書を紹介することで、その責を免れたいと思います。


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