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カフカの家

 フランツ・カフカ(1883 | 1924)はチェコ人の裕福な家庭に生まれた。

 ドイツ文学史ではユダヤ系ドイツ人とされているが、父親はチェコ人、母親は裕福なドイツ系ユダヤ人で、チェコ人に該当するという。(もっとも本人自身、ユダヤ人であるとの発言があり、その自覚にたった行動もしている)

 父ヘルマンは富裕な商人だったので、カフカは当時の習慣に従い、比較的上層階級の児童が通う学校、「帝立兼王立ギムナジウム」(旧市街広場に所在した。現在キンスキー宮殿。 1 階部分がカフカ書店になっている)にいれられた。ここでの授業はドイツ語によるものだった。ここで早くからドイツ語を使用して文学作品を書いている。


カフカの家

 カフカの家族もそうだが、カフカ自身も頻繁に住居をかえた。

 ここプラハ城の中、「黄金の小路」(「錬金術師小路」)にはカフカが執筆のために借りていた家が残されている。中央の青い家がそれである。


Sony DSC-R1
processed RAW materials by Photoshop CS2


 いつだったか夏に僕はオットラ(カフカの妹)と家を探しに行きました。本当の静けさが見つかるかもしれないとはもう思っていませんでしたが、行くだけ行ってみたのです……。やはりだめでした、めぼしいものは一つもありません。冗談であの狭い路地でも訊いてみました。ありますよ、十一月以降なら一軒お貸しできます。オットラの方でも静かな家を求めていて、この家を借りるという考えに有頂天になったものです……。
 そこには住み始めにつきものの欠陥がたくさんありましたが……今ではあらゆる点で僕にぴったりの家です――ここまで上がってくる道のすばらしさ、部屋の静けさ、隣人とは薄い壁一枚で隔てられているだけですが、その隣人が申し分なく静かなのです。僕は夕食持参でここまで上がってきて、たいてい夜中までいます。それからわが家に戻る道にもすばらしいことがあります、夜中に僕は切り上げる決心をしなくてはならないのですが、そのあとに頭を冷やしてくれる道が僕を待っているのです。さらにそこでの生活――自分の家を借りて持つということ、世間を後にして後ろ手で閉めるドアが、自室のドアでもアパートの玄関ドアでもなく、まさしく自分の家のドアであるということ、そしてそのドアを開けると目の前に雪の降り積もった静かな街路があるということ、そういったことのなかには何か特別なものがあります。そうしたすべてが月わずか二十クローネなのですから。必要なことはみな妹にやってもらって、また幼い花売り娘(オットラの生徒)にも最低限必要な分だけ世話をしてもらい、すべてが文句のつけようもなくすばらしいのです。
フェリーツェ宛書簡 1916 年頃 『カフカのプラハ』より

 カフカは 1915 年に「金のカワカマス館」に転居しているが、落ちついて創作活動に専念できる環境ではなく、新しい家を探していた。そして 1916 年、プラハ城内の「黄金の小路」にたまたま貸物件を得ることが出来たという。手紙の内容からは、ほとんど期待しないであたった場所のようである。

 わずか半年ばかりの縁だったが「カフカの家」は、小さなたたずまいだったこともあわせてお気に入りだったようである。『村医者』 『天井桟敷にて』 『猟師グラックス』 『あるアカデミーへの報告』 『家長の心配』などが執筆されている。



黄金小路


黄金の小路



 カフカが昇降に使っていたお気に入りの道とは、ここのことであろうか。





カフカの生家



 旧市街広場、聖ミクラーシュ教会の隣に生家はあった。
 現在は一部を残して別の建物になってしまっているが、「カフカ記念館」が置かれている。外壁にはカフカのレリーフが掲げられている。


この看板左手に、インターコンチネンタル・ホテルがある
写真正面の向こうに拡がる一画がユダヤ人街


 有名な『変身』が執筆されたのは、パリ通り(旧称:二クラス通り)沿いにあったという「ツム・シッフ館」である。当時は新築されたばかりの高級住宅であり、カフカの社会的地位を表している。1912 年頃のことである。現存せず、館のあった場所はインターコンチネンタル・ホテルになっている。ここを少し進むと(写真右後方へ進む)、すぐにカレル大学法学部がありチェコ橋である。


現在のパリ通り周辺


肺結核で逝去。オルシャヌイ墓地(プラハ本駅の東)に埋葬されている。



【参考文献】

カフカのプラハ カフカのプラハ
クラウス ヴァーゲンバッハ (2003/05)
水声社

 カフカをテーマにプラハを旅する人には、よい案内書になると思います。
 ただあくまでも旅行のガイド書ではないので、この本以外で、それなりの下調べは必要になります。


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コメント

 仁屋番頭さん、この家自分も随分昔に訪れました。
“カフカ”と大きく文字の書かれたプラハの写真集を買いました。通常の観光写真集とは違って、少しカフカの歩いた短い人生を思い起こさせるような写真集で、気にいりました。

 カフカの作品では“城”が心に残っています、、、何だかシュールな作品で、安部公房の作品のよう、、、、早く終わらないかと読むんですけど、終わると又読み返したくなる、、、不思議な読後感を持った事を覚えています。
  1. 2007/08/20(月) 15:39:10 |
  2. URL |
  3. レオナルド #-
  4. [ 編集]

日本はまだまだ暑いです

 レオナルドさん、コメントありがとうございます。

 カフカは万人向きではありませんが、根強い人気がありますよね。
 かくいう私は苦手な方でして……。(ブログにエントリしていて何ですが (^^ゞポリポリ)

>カフカの作品では“城”が心に残っています、、、安部公房の作品のよう、、、、
 私の知人も「『城』が印象深い」という人が多いです。

 安部公房ですか。なるほど。

 安部公房さんはとうとうノーベル文学賞の候補と噂されながら、受賞しないでお亡くなりになってしまいました。ピアニストのグレン・グールドが『砂の女』を愛読したというので、それから私も読みました。

 かたやカフカは律儀な文章、かたや阿部は品行方正とは異質な作家でしたが、そう言われてみると読了感は似ていますね。

 安部公房の奥方様は、「一人背中を向けて暗闇を指さしていた」とご主人を評しましたが、人間存在の不安定な奥底を見つめていた姿勢が似ているのかもしれないですね。――勉強させていただきました。

チェコ人作家ではオタ・パヴェルが、例えば<a href="http://www.amazon.co.jp/美しい鹿の死-オタ-パヴェル/dp/4314008636">『美しい鹿の死』</a>が面白・可笑しく・ちょっぴりしんみりと読めて、私には合っているのかもしれません。
  1. 2007/08/20(月) 20:56:44 |
  2. URL |
  3. 仁屋番頭 #GCA3nAmE
  4. [ 編集]

亀レス

『城』というのは、読んだことがありませんでしたが、いつまでたっても城にたどり着けないという話なのですね。

安部公房のは、いつまでたっても砂の中から出られない……『砂の女』は当たっていましたが、内容は頓珍漢珍なお答えをしていました。
 スミマセン m(_ _)m
  1. 2008/01/14(月) 09:17:55 |
  2. URL |
  3. 仁屋番頭 #GCA3nAmE
  4. [ 編集]

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