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リベルタンゴ Libertango

ピアノソロ アストルピアソラ ピアノコレクション (ピアノ・ソロ)ピアノソロ アストルピアソラ ピアノコレクション (ピアノ・ソロ)
(2000/12/21)
宮崎 幸夫

★★★★☆
技術的には初級~中級者向き。
もう少し音楽的充実度を求めるのなら、下の記事を参照のこと。それがピアソラの曲の音楽性にマッチしているか否かは疑問だが……。


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『リベルタンゴ』 Libertango はご存じアストル・パンタレオン・ピアソラ  Astor Piazzolla (1921 | 92)の出世作である。

ピアソラは今でこそギドン・クレーメル Gidon Kremer らの顕彰運動があって一流作曲家の仲間入りを果たしているが、仁屋番頭が子供の頃は、日本では知る人ぞ知るバンドネオン奏者/作曲家だった。

初めてピアソラの演奏を耳にしたのは NHK 放送の演奏会だった。

曲が終わると、間の悪いタイミングで拍手が起こる。やけに白けたノリの悪い演奏会の録画だったが、そこで展開されていた音楽は、甘い感傷的なメロディのタンゴ、ただその旋律の裏に剃刀のように前衛的な光を煌(きら)めかせていた。
ただのタンゴではない
子供の私にも何となくそのことは分かった。そしてこの曲だけはと走り書きをしたのは『ビジュージャ』 Biyuya という題。「おカネ」という意味である。このメモ帳は今でも手元に残っている。

当時の事情を語る出版物では、ピアソラがヨーロッパでかろうじて名をなした頃で、ほとんど無名の新人状態だったようだ。
それを勧進元はよく分からないがピアソラを招聘、紹介するためにNHKがお膳立てに一枚噛んだらしい。
そしてこの時ラテン系音楽の専門家たちを会場にお招きしたが、彼らもピアソラをほとんど知らない人たちだった、という。これを記録したのがその時のコンサートの映像だったとのこと。
今それを読んで、当時のしらけたコンサートの模様について、妙に納得した。モサリーニも NHK は積極的に起用し紹介につとめていたし、NHK はこういうところは先見の明があって素晴らしい。

さて、『リベルタンゴ』『ビジュージャ』なる名詞を覚えてショッピング。ピアソラのレコード探し。だが当時の輸入レコード屋さんには皆無。あるお店で個人輸入の形で入手できるか相談したが、
何人か集まればやってあげてもいいけど、キミ一人だと払えないよ。ご両親はこのことを知っているの?
とたしなめられて断念。(当時は関税も高く、現在のように世界各地のものが容易に輸入できる状況ではなかった) いい想い出である。

日本楽器に行くと、アンサンブル用とも曲のスケッチともなんとも言えない楽譜は時折入ってきていた。それも何かしら一曲が……という感じ。なんの曲か分からないものが多かったが、時折購入した。

そんな楽譜を眺めて、ピアソラという奏者は私の中に定着していった。

ピアソラ晩年、1980年代後半に入り、アメリカン・クラーベからキップ・ハンランのプロデュースにより、久しぶりに新譜を見る。『タンゴ・ゼロ・アワー』である。このアルバムは、それまでのものと違って録音が格段によい。初めてピアソラのアルバムが世間並みの録音の土俵にのったといえる。

以降このシリーズは、『ラ・カモッラ』などと続く。これと前後してモサリーニがバンドネオンで、管弦楽バージョンの『ブエノスアイレスの四季』をリリースしたり、クロノス・カルテットの『Four, For Tango』(『タンゴの四人』)、アサド兄弟『タンゴ組曲』など、細々とではあるがピアソラという音楽家を聴くしっかりしたレールが敷かれているのが見え始めた頃、ピアソラの訃報が届く。「もはやこれまでか」と思った、が、世界は私が想像したものとは違って動いていたらしい。

死後、彼の曲が再評価されて楽譜も CD も次々と出版・発売される。
  「あ、この曲有名」
  「あ、ここに楽譜の曲が入っている」
知人らに「わりとミーハーなところがあるね」と笑われようが何だろうが、昔手に入れられなかったものが、今労せずして目の前にある。ピアソラブームを冷笑する知人たちの目も気にならなかったから、我ながら驚いている。心底好きだったんだろうか……自分でもよく分からない。

『リベルタンゴ』は日本での再評価期、ヨーヨー・マ Yo-Yo Ma のチェロでの演奏がCMに起用されて広く知られるようになった。ピアソラ作品の紹介に努めたクレーメルはこの曲は録音しなかったようだ。

ピアソラは1980年頃、新しく五重奏団を組織し直した。
この頃からのメンバーであるピアノ奏者 パブロ・シーグレル Pablo Ziegler らも手伝って古い作品をリニューアルしていった。『リベルタンゴ』のニューバージョンは一言、「カッコイイ」のであります。即興性に富んだ前奏部がつき、ことに曲後半、自由なパッセージの合間にカタストロフィーを暗示させる和音の下降をともない、イタリア ヴェローナ Verona の円形劇場で行われたライブの録音(録音年時不詳。音は劣悪)を聴いていても会場の興奮が伝わるような演奏であります。(版によっては録音の情報欠落を補うために、観客の歓声・拍手をオーバーラップさせているものがあるから、あまりあてにはならないが……)

そこで日本でもこのバージョンを取り入れたアレンジ版の楽譜が多く出たが、どれも今ひとつの感を拭えなかった。ところが先日 Mrs. 仁屋番頭の楽譜探しにつきあって楽譜屋に足を運ぶと、宮崎幸夫編 『ピアソラ / ピアノコレクション』 (ドレミ音符出版社) 表紙に見覚えはあるが、中を見るとシーグレルバージョンの音の並びになっている。出版日は 2000 年。見落としてい……というより、すっかり忘れていたのだ。

もちろん忠実な採譜ではない。
あくまでも曲の雰囲気をソロピアノでどのように写せるかが至上課題なのであろう。そして他の編曲者版よりは原曲の容姿を留め、抑圧されてれいた意思が自由を得たときのような爆発的なエネルギーと、それが流れを形成したかのような全体のノリ、両者を崩させないアレンジで成功していると思う。

その他この曲集中『アディオス・ノニーノ』もよくできていると思う。この曲は、ピアソラ自身の手でピアノバージョンが筆録された数少ないものである。そのピアソラオリジナルバージョンも宮崎氏の手により校訂出版されている。(ラテン・アメリカ・ピアノ曲選 2 アルゼンチン編 CD付) ピアソラ・オリジナルとはまた違う味を出しているので両者ご参照あれ。


ソロ・ピアノのためのピアソラソロ・ピアノのためのピアソラ
(2007/12/07)
山本 京子

もう少し難易度が高いほうがよい方はこちらの楽譜が充実している。ただしアックスとシーグレルの連弾を思い起こすような編曲で私的にいまいちノレない……世間的にはこの楽譜のほうが評価が高いようだから、好みの問題か。
これ以前に山本女史は、4手バージョンも出版している。


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黒田亜樹 編曲
「リベルタンゴ」
黒田 亜樹(ソロピアノ用)

もう少し編曲を頑張ってくれていたら特選です。いい感じに仕上がっています。

ピティナは楽譜の販売もしているんですね。


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Live in Tokyo1982Live in Tokyo1982
(2004/06/23)
アストル・ピアソラ五重奏団藤沢嵐子

なんと! この初来日時の演奏が、CD 化されていました。レヴューによると、この時のマスター音源を NHK は破棄しており、ラジオ放送版の司会・通訳のトーク部分をカットしてのダビングということだそうです。


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