Aerial Space

 Digital[な]空間 ― 移ろいゆく現象世界に歩みをとどめつつ

至宝の書

書道をたしなんでいる訳ではない。
達筆な訳でもない。
が、機会があればなるべく筆を握るようにしている。

道ばたでばったり旧知に遭う。上野の国立博物館でやっている書の至宝展の帰りだという。
行かれましたか?
いいえ、行かれていません

どこかおかしい日本語を駆使して、その場は切り抜けた。帰宅すると新聞に連載されているので、家族は行く気配のない私を察して
行かないの?

と。行く気はなかったがこういう次第で行きたくなり、重い腰を上げた。



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入 場
会場はたいへん混んでいた。
割り込まないで下さい
後がつかえているので見たら前へずれて下さい

との声が時折係員から発せられる。

私はならんで進んでいるのに、若い女性から割り込みのような小言をもらうことしばしば。
自分だけが正しいという風潮は何とかならないか。とか思っているうちに強引に割り込んでくるお婆さんがいる。ここは寛容が一番。
どだいモナリザの時のような(時代的に愛知万博のマンモスかな)自動歩道を用意するなど、会場主も厳密にルールを定めている訳ではないのだから。。。中には割り込んだ上に、周囲の人間をみななぎ倒したくなった、と声を荒げているお嬢さんもいたようだ。凄い。
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以上 Sony DSC-R1




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最初の難関は王義之。神筆『蘭亭序』がない。
無いはずはなかろうと、我慢して進んでいると(これがまったく進まないのだ。その間『喪乱帖』など大物はしっかり見ている)そのうちに出てくる。
蘭亭は代表格が八柱と呼び慣わされるように臨書・模書の数が多い。開催期間中三本が入れ替わる。いずれも定武の拓本である。しかも所蔵はみな台東区内ではないか……灯台もと暗し。神龍本(もしくはその系統)か褚遂良本が見たかったと思うのは私だけではあるまい。

虞世南、褚遂良もみて、好きな蔡襄も拝めた。ありがたや。と、ここで『九成宮』が無いことにまたもや気づく。画龍点睛を欠くはずもなかろうと目録を見ると前半までの出展。早い話、見損ねたようだ。

朱子の『論語集註』の自筆草稿もある。
こんなもの現存していたのか、と絶句状態に陥る。ところがこういうところは、まったく閑散としている。朱子学の聖典、世が世なら……と思いつつも、楽しめるのは書だけではない。来場者の声である。
どっかで見た名前だな。
何これ、作品じゃないじゃない

朱子ばかりではない、米芾などみな、似たような冷笑ぶりである。
ミミズみたい
これなら俺にも書けそうだな(仁屋番頭注:そりゃ無理だろう)

まあ、楽しみ方も人それぞれあってよろしい。

横か縦か
作品といえば、中国の書は書信だったり、記録だったりで横敷きの紙にしたためる。従って縦の字数は少なく横に延びていく。日本に来ると鑑賞するよう掛け軸型になって実用性失い、縦長になる。近代の中国書も展示していたが、この影響を受けて縦長の軸型になる。(同時に義之の影響からも離れているのがまた1つ見所) やはり実用の中に磨かれた芸術なのだろう、軸装の時代は今ひとつ面白味に欠ける。

1、2年前に久しぶりに展示された空海『風信帖』も今回お出まし。知人の書道の先生に、次はしばらくでないだろうと言われて見に行ったのは一体何だったんだろう。といいつつ、何度見ても好いものはよい。心の洗濯をするかのようである。
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(自然が路上に描く。これもまた書なり)



まとめ
1 月 5 日にとりあげたカール・リヒターのDVDも手元に届く。リヒターはこんな甘い声でささやいていたのか、と感動する。
彼が好んだレーガーも、パッサカリアがほんの一部分だけだったが収録されていて、始めて耳にできた喜びは大きい。
バックハウスの映像も出てくれば、ラフマニノフの映像も見れて、凄い時代になったものだ。
往時はバッハでもモーツァルトでも、その音楽を聴きたいがタメに、宮廷は聴きたい音楽家を雇って演奏させた。それが録音の時代になってわれわれは、好きなときに好きな音楽家の曲を聴けるようになった。今や映像で見れるという訳だ。

これで『九成宮』も見られていたら、一生かけて見なくてはいけないものをすべて見おえ、寿命を迎えていたかも知れない。何ごとも七・八分めが丁度良い。十成を忌むべし、古人は優れた言葉を残している。

以上 Sony DSC-R1



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